2019年6月書店売上ランキング

梅雨らしく、今日も雨ふり。先月売れている本を見ていると旅にまつわるものが多い印象でした。そのなかにはやわらかな文体ながら、良い本が多く、久しぶりに旅エッセイを読んでみようかと思わせる本ばかりでした。それでは、2019年6月の書店売上ランキングをご紹介します。

 

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1位『天文学と印刷 新たな世界像を求めて展覧会図録』(凸版印刷株式会社印刷博物館)

 

2位『てくてく青空登山』安西水丸(ミューレン編集部)

 

3位『庭とエスキースブックレット写真集』奥山淳志

 

4位『京都のいいとこ。』大橋知沙(朝日新聞出版)

 

5位『庭とエスキース』奥山淳志(みすず書房)

 

6位『石の辞典』矢作ちはる 内田有美(雷鳥社)

 

7位『文化人類学の思考法』松村圭一郎 中川理 石井美保編(世界思想社)

 

8位『マッチ・ラベル1950s—70sグラフィック』たるみ燐寸博物館 小野隆弘(グラフィック社)

 

9位『また旅。』岡本仁(京阪神エルマガジン社)

 

10位『日本発酵紀行』小倉ヒラク(D&DEPARTMENT PROJECT)

 

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第1位は、東京印刷博物館で開催されていた展示図録『天文学と印刷新たな世界像を求めて』です。こちらの本は、第53回造本装幀コンクールに於いて「日本印刷産業連合会会長賞印刷・製本特別賞」を受賞しました。180度ぱたんとページを開いて楽しめるように工夫された製本、美しいデザインも大きな魅力。その時代の最先端技術の代表として、印刷は人々の生活とともにありました。人類をめぐる壮大な印刷と天文の歴史。ぜひご自宅の本棚に一冊。

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第2位は、安西水丸『てくてく青空登山』。小冊子「mürren」を制作する編集者の若菜晃子さんが、新シリーズ「MURREN BOOKS」として刊行した一冊目の本です。水丸さんのイラストと同じようにやわらかく、アジのある文体で綴られる山や各地を旅したエッセイには脱帽。

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第5位は、写真家・奥山淳志さんの写文集『庭とエスキース』。北海道新十津川村、丸太小屋にひとりで暮らす老人「弁造」さん。長い年月をかけてつくりあげた庭と自給自足の日々。そして毎日のように描かれる女性をモチーフにしたエスキース。14年ものあいだ、彼の元に通い続けた著者がその記憶を辿りながら綴られた24篇のエピソードを収録した内容も写真も美しい一冊。第3位のブックレット写真集には、『庭とエスキース』が刊行されたあとのその後について書かれたテキストが収録されています。6月8日には当店イベントスペースにて、奥山さんによるトーク&スライドショーを開催しました。来場の方から奥山さんにことあるごとに質問が飛ぶ、素晴らしい会でした。

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第4位は、大橋知沙さんの『京都のいいとこ。』。案内本として重要なことはやはりバランスでしょうか。雑誌の特集のように新店を多く紹介するのも良いですが、今回の大橋さんの本のように、老舗や新しい店も交えながら、独自のラインナップをもっている案内のほうが面白い。普段使いの京都本です。

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第6位は『石の辞典』。ライターの矢作ちはるさんがテキストを手掛け、内田有美さんが石たちの絵を描いたコンパクトで可愛らしい辞典です。この本が置いてある書店東側に隣接しているギャラリーアンフェールでは、鉱石や星座などに関連したアイテムや本が並んでいます。ギャラリーの展示内容は毎回変わりますが、常設の雑貨たちにもぜひご注目ください。

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第7位は『文化人類学の思考法』です。今週末7月6日(土)には、この本の編者である松村圭一郎さん、石井美保さん、さらに藤原辰史さんをお招きした現代の京都学派による鼎談を開催します。まだ若干名ご予約の受付ができます。詳細はこちら。

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第8位は、『マッチ・ラベル1950s—70sグラフィック』。アンフェールの一角にて展示も開催したこちらの本。展示の様子はこちらのブログでご紹介しています。ご購入のお客様には、先着特典としてオリジナルマッチをプレゼントしております。

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第9位は、旅と本、本と旅についてこれまでにも書いてきた岡本仁さんのエッセイ『また旅。』です。「暮しの手帖」の連載「今日の買い物」をまとめた一冊で、京都だったら珈琲と喫茶店、松山だったらみかんジュース。訪れた土地の誇張のない楽しみ方が綴られた一冊です。

 

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第10位は小倉ヒラクさんの『日本発酵紀行』。7月19日(金)19時開演。小倉ヒラクさんのトークイベントを開催します。発売以来『発酵文化人類学』が当店ではロングセラー。待望のヒラクさん本人のトークイベントです。気がつけば開催日が近くなってまいりました。詳細、ご予約はこちらのイベントページから。

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今月は以上となります。また来月もぜひお楽しみに。

 

(鎌田)

『マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス』刊行記念 マッチ箱展

 

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アンフェールフロアの壁面一角では、今年4月にグラフィック社より刊行された『マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス』出版記念のマッチ箱展を開催中です。

 

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兵庫県神戸市の地場産業として、高度成長期には日本全国あらゆる業種で作られたマッチ。ふとした折に胸の内ポケットから取り出される、お店の屋号や看板メニュー、外観や内装の意匠、土地の歴史や風物を反映したデザインを施された、小平型や寸二、寸四型など種々のサイズの小さな箱。喫茶店やレストラン、ボウリング場やタクシーなど喫煙可能な場所が今よりも格段に多く、インターネット到来以前でもあった当時、実用品として持ち歩かれる電話番号を印字したオリジナルのマッチは、お店や企業にとって最も効果的な広告、宣伝媒体として機能していました。

 

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本書は、そんな時代の空気を詰め込んだ文化遺産としてのマッチとそのデザインを、業種やカラー、モチーフ別に紹介するカタログのようなビジュアル・ブック。現在は閉店してしまったお店や、時代の変化により衰退した産業、技術革新により変化し失われてしまった習慣や懐かしい文化を思い起こさせるメディアとしてのマッチ箱と出会うことの楽しみを伝えます。何より、店ごとの個性やこだわりがイラストやデザインの意匠として凝縮された手のひらサイズの箱は、小さきものを愛でる感性を心地よく刺激してくれます。

 

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開催中のマッチ箱展では、本書の著者、小野隆弘さんが実際に蒐集してきたコレクションから、モノトーン、ブルー、グリーン、ピンクやイエローなどカラー別に集められたマッチを収めた木枠のクリアパネルを展示しています。色別に集められたページは書籍にもありますが、実際にひと所にまとめられたマッチ箱とそのバリエーション豊かな意匠の数々の実物がご覧いただけるのは非常に貴重な機会。また、京都のお店やホテルのマッチだけを集めたパネルも今回あわせて送っていただきました。かつてこの街に存在した喫茶やグリル、ベーカリーなどのマッチには、長くこの街に暮らす人には馴染みぶかく懐かしいものもきっと含まれていることでしょう。ぜひじっくりご覧になってみてください。

 

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神戸に生まれ、小学生の頃よりマッチ箱のイラストに魅せられ蒐集をはじめたという著者の小野さんは、マッチ箱・マッチラベル・関連資料を常設する私設の博物館「たるみ燐寸博物館」を2015年より営む、生粋のマッチ愛好家。その継続的な蒐集の履歴を一冊にまとめた本書と本展示は、移り変わりゆく街の記憶を残す小さな文化遺産としてのマッチの魅力と、蒐集することの楽しみ(そして、管理・保存することの大変さ…)をあらためて感じさせてくれます。ぜひ書籍を手に取って、「あの頃」の街とお店と人々の空気に触れてみてください。

 

当店の店頭・オンラインショップにて書籍をご購入のお客様には、先着特典としてマッチをプレゼント。かつて広告として機能していたマッチのスタイルを踏襲するように、本書と「たるみ燐寸博物館」を宣伝するオリジナルの特典です。この機会にぜひお求めください。

 

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『マッチ・ラベル 1950s-70s グラフィックス』(グラフィック社)

刊行記念 マッチ箱展

2019年6月15日 – 6月30日

恵文社一乗寺店 ギャラリーアンフェール 壁面一角にて

 

 

(テキスト:涌上 / 撮影:韓)

 

奥山淳志『庭とエスキース』オリジナルプリント展、トーク&スライドショーのご案内

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現在、書籍フロアでは写真家の奥山淳志さんによる『庭とエスキース』(みすず書房)の刊行を記念したオリジナルプリント展を開催中です。

 

関西出身の著者である奥山淳志さんは、1998年より岩手県雫石に移住し、東北の文化や風土、そこに生きる人々にフォーカスを当て、書籍や雑誌を通じて紹介してきた写真家。本書は、彼が東北に移り住んで以来、14年間にわたり日々通い、交流を続けた北海道の新十津川に暮らしたひとりの老人「弁造さん」の記憶を40点の写真と24篇の物語でたどった写文集です。

 

 

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北海道の開拓時代の最後を経験し、その後の経済的な大きな発展にともなう時代の変化への違和感から、一家族が永続的に暮らしていける自給自足の生活を自ら実験的に作り出していくことを選んだ「弁造さん」。

北の大地の気候、風土との対話を繰りかえしながら自然とともに作り上げてきた庭、生活に必需なものだけを集めた小さな丸太小屋、そこに唯一置かれているイーゼルをはじめとする絵の道具。陽気で(可愛げすら感じさせる)ユーモアにあふれた人柄、ありありと語られる開拓時代の不思議なエピソード、作物を植え育て生きる実践的な日々から生まれた生活の思想、作品として完成することのないエスキース(下絵)の重なりと、繰り返し描かれる母娘のモチーフ…。

長い時間を生きてきたひとりの人間のなかにあるさまざまな時間と表情、その側面を、直接の会話はもとより何気ない行為やその表れ、写真家らしい解像度の臨場感を感じさせる美しい風景描写などを折り重ねながらひとつひとつ追想するように綴る著者の誠実な語り口は、「他者」と出会うこと、誰かを想うことの豊かさとその奥行きを、読む者の心身に浸透させるようにじっくりと伝えます。

 

 

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書籍フロア壁面では、弁造さんと過ごした日々に撮影された写真から奥山さん自身が選んだ3点の作品(本書未掲載含む)のオリジナルプリントを展示中です。弁造さんの庭の象徴ともいえる青々と茂るメープルの木、繰り返し描かれたエスキース、そして雪原でにこやかに笑う弁造さんの肖像。

 

また、奥山さん自身が編み、2018年の写真協会賞新人賞を得ることにもなった写真集『弁造 Benzo』(http://benzo-book.atsushi-okuyama.com/benzo/)もあわせて展示しています。こちらは限定数発行の私家版をお借りしているため非売品となりますが、『庭とエスキース』に表現されたもの、弁造さんの庭とその人となりを捉えた写真家の視線をより直接的に感じていただける作品集です。ご来店の際はぜひ手に取ってご覧ください。

 

 

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 今週6月8日には、当店イベントスペース COTTAGE にて、奥山淳志さんをお招きしてのトーク&スライドショーも開催いたします。時系列に語られることなく、小さなエピソードから波紋のように広がる交流、人となり、場所の記憶。被写体と撮影者との距離、人と自然との距離、過去と現在との距離、わたしと他者とのあいだにある距離。そのままならなさや分からなさに向き合いながら、生きることや老いることの実感を14年の歳月のなかで受け取った奥山さんが語る「弁造さん」の物語。

現在は岩手在住の奥山さんですが、大阪生まれで奈良育ち、京都で学生時代を過ごされた関西にも所縁の深い方です。京都で話される貴重な機会ですので、ぜひ奮ってご参加ください。

 

 

 

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奥山淳志『庭とエスキース』 (みすず書房)

刊行記念オリジナルプリント展

2019年5月22日-6月11日

恵文社一乗寺店 書籍フロアにて

 

 

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■『庭とエスキース』奥山淳志(みすず書房)

 

 

(テキスト:涌上 / 撮影:韓) 

 

2019年5月書店売上ランキング

5月に観た映画のなかで良かったのは、ガス・ヴァン・サント監督の「ドント・ウォーリー」。アルコール中毒、交通事故に遭い、車椅子での生活をすることとなった実在する風刺漫画家を演じたのはホアキン・フェニックス。唯一の救いのように、登場するミューズを演じるは、ルーニー・マーラ。スパイク・ジョーンズ「her」でも印象的なタッグでしたが、今回の映画も素晴らしかった。先日のふたりの婚約報道が本当だったら良いなと思っています。もう一度観たいと思っていたら今月末、出町座さんでかかるそうです。余談が長くなりましたが、それでは2019年5月の書店売上ランキングをご紹介します。

 

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1位『ねえさんといもうと』シャーロット・ゾロトウ 酒井駒子(あすなろ書房)

 

2位『数学の贈り物』森田真生(ミシマ社)

 

3位『あそびうたするものこのゆびとまれ』中脇初枝ひろせべに(福音館書店)

 

4位『石の辞典』矢作ちはる内田有美(雷鳥社)

 

5位『あそびうたするものよっといで』中脇初枝ひろせべに(福音館書店)

 

6位『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』斉藤倫高野文子(福音館書店)

 

7位『日本発酵紀行』小倉ヒラク(D&DEPARTMENT PROJECT)

 

8位『天文学と印刷新たな世界像を求めて展覧会図録』(凸版印刷株式会社印刷博物館)

 

9位『漱石全集を買った日』山本善行 清水裕也(夏葉社)

 

10位『ムービーマヨネーズ第2号』Gucchi’s Free School

 

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第1位は、シャーロット・ゾロトウの作品を、酒井駒子さんが再訳し絵を描いた一冊『ねえさんといもうと』。酒井さんの絵をあしらった当店オリジナルのブックカバーを特典としてお付けしていましたが、早々に完売しました。もちろん、絵本本体は引き続き取り扱っております。

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第2位は、独立研究者・森田真生さんのエッセイ『数学の贈り物』です。5月26日、森田さんのトークライブ「数学ブックトーク」が開催されました。遡ると、5年ほど前から当店のイベントスペースで三ヶ月に一度の定期開催いただいているイベントです。今回のトークテーマは「ことば」や「偶然性」でした。九鬼周造の『偶然性の問題』を噛み砕き、『インティマシーあるいはインテグリティー』から親密さ、関係性について語る。この通り、数学というタイトルがついていますが、森田さんが扱う分野は様々です。哲学の古典や人文科学の本などを読んでみたいという方は一度参加されてみてはいかがでしょうか。次回は8月、真夏の開催を予定しています。当店発行の冊子『ブックリスト:『数学の贈り物』と80冊森田真生インタビュー「読書」について』の残部は10部ほどとなりました。こちらもあわせてぜひ。

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第3位、第5位は同時発売の絵本『あそびうたするものよっといで』と『あそびうたするものこのゆびとまれ』です。文、中脇初枝。絵、ひろせべに。5月25日には、イベントスペースにて中脇さんのお話会が開かれ、会場を覗いてみると子どもたちが楽しそうな声が聴こえてきました。生活館ミニギャラリーにて6月7日までひろせさんの原画展も開催しています。

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4位は、ライターの矢作ちはるさんが文を書き、内田有美さんが絵を描いた『石の辞典』です。あらためて、内田さんが描かれる石の絵の美しさに驚きました。写実的でありながら、絵でしか表現できない暖かさ、デフォルメの加減が見事です。ご自身も蒐集家だという矢作さんのテキストもイラストや本の佇まいにぴったりです。

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第6位は、『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』。やたらと長い題名や、高野文子さんの挿絵をきっかけに手に取られる方も多いと思いますが、身の回りに子どもがいる方にはぜひ読んでいただきたい。詩人の斉藤倫さんが、小説の形をとりながらまど・みちお、萩原朔太郎らの詩を紹介する一冊です。先日、小学4年生の姪と一緒に交互にこの本を音読しましたが、詩を読み上げてはケラケラと笑っていました。

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第7位は、発行デザイナー・小倉ヒラクさんの『日本発酵紀行』です。ヒラクさんといえばデビュー作『発酵文化人類学』(木楽舎)でご存知の方も多いはずです。待望の二冊目の本。8ヶ月に及ぶ、47都道府県の発酵文化をリサーチするフィールドワークの旅を記録した一冊です。発酵食とは、その地の食文化や気候、あらゆる暮らしが色濃く反映されるものです。ローカリティ、人類学、そして発酵。様々な角度から読む人によって顔を変える、射程の広い本です。発行は、『d design travel』のD&DEPARTMENT PROJECTから。

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トークイベントのご案内。7月19日(金)19時開演。小倉ヒラクさんのトークイベント「『日本発酵紀行』刊行記念“発酵”で日本の歴史と暮らしをわかる!8か月間の発酵の現場をめぐる旅で見えたもの。」発売以来『発酵文化人類学』が当店ではロングセラー。待望のヒラクさん本人のトークイベントです。平日ですが、満員で当日を迎えたいと思っています。ぜひご参加ください。詳細、ご予約はこちらのイベントページから。

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第8位は、東京の印刷博物館開催された展示の図録『天文学と印刷新たな世界像を求めて』。天動説から始まり、万有引力へ。天文学の歴史と知の蓄積、発展を「印刷」というキーワード、技術、テクノロジーから追ったスケールの大きな一冊です。こちら、一時品薄でしたが追加の在庫が届きました。

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第9位は、夏葉社新刊『漱石全集を買った日』。古書店主とお客さんによる古本入門。善行堂の山本さんが、お客さんである「ゆずぽん」こと清水さんに本を読むようになった経緯や普段の読書について聞いた一冊です。関西圏の古本イベントなどに必ずといって良いほど顔を出すゆずぽんさん。恵文社にも時々立ち寄ってくださいます。昔から知っている方だったので、夏葉社から本が出ると聞いた時は驚きました。古書ファンとしてはまだ若い年齢のゆずぽんさんですが、その目利きもさることながら、古書店やイベントなど、その古書を買った場所や体験すら楽しまれていて、本当の本好きってこういう人のことだと会う度に思わせてくれるお客さんです。読みやすく、面白い一冊なので、古本に詳しくない方にもおすすめできます。

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第10位は、日本未公開の映画を紹介・上映するGucchi’s Free School 制作のリトルプレス『ムービーマヨネーズ第2号』。5月17日には、主催の降矢さん、みなみ会館の吉田さん、尾関さんによるトークイベントを開催しました。みなみ会館のリニューアルオープンが待ち遠しい。

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長くなりましたが、今回は以上です。また来月もお楽しみに。

 

(鎌田)