ギャラリーアンフェールでは、井上有美子さんの刺繍画を集めた個展を開催中です。
前回の個展から二年間で新たに制作された作品が並びます。
最初にご連絡をいただいた時、今回は大きな作品に挑戦するとおっしゃっていた井上さん。四年前に当店で初めて展示をしていただいてからずっと、井上さんの大きな作品が見てみたかったので、とても楽しみにしていました。
連作8枚の大きなキャンバス、想像以上の超大作が届きました。目前に広がるのは、架空の鹿が見せる夢のような世界。
激しく穏やかに、とめどない川の流れのように躍動する糸。虹のように不思議で美しい色彩。決して触れることができない幻が、突然目の前に現れたような、ぞくぞくする瞬間。
今回はスケッチも数点展示。力強い線が心地よく、刺繍画とはまた違った味わい深さがあります。
机に広げられた糸の絵の本。刺繍で綴られる言葉と絵が、思い思いにコラージュされて、井上さんの世界がめくるめく素敵な作品です。
今の井上さんの思いが形になって解き放たれて駆け回る、どこか軽やかで楽しくて、気持ちのよい空間になりました。慌ただしい師走の最中、しばし時間を忘れて浸りたくなります。ご来場をこころよりお待ちしております。
井上有美子「糸で描く絵 展」
開催期間:2019年12月17日(火)-12月23日(月)
開催時間:10:00-21:00(※最終日は15時まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
糸を使ったアートワークの展示です。制作を始めて14年になります。
これまでは、小さなサイズの作品が多かったのですが、今回は大きめのサイズに挑戦しました。自分のワクを少しはずすことを念頭に、ああしたいこうしたいという憧れを形にしていくことを、試行してきました。架空の動物をかいた8枚組の作品をメインに、習作・スケッチも含めて、試みと遊びの個展です。
年末のあわただしくも心のはずむ時期です。多くの方に立ち寄って見ていただけたらと願っています。
井上有美子
(上田)
当店ギャラリーの展示でもお馴染みのイラストレーター中山信一さんが絵を手がけられた、漫画絵本「労働讃歌」。数ヶ月前にこの本を初めて開いたその瞬間、紙を飛び越えて伝わってくるような熱量に圧倒されて、ぜひ原画を見たいと、当店での原画展開催が実現しました。
「世界がもし、ひとつの会社だとしたら。」
アニメーション制作やキャラクター開発等、第一線で活躍されているアートディレクターおおばるさんの物語と中山信一さんの絵で綴られる、輪廻転生を転勤に例えた不思議な物語。切なくて、ほっこりあたたかい気持ちにしてくれる優しい漫画絵本。
今回はなんと、全頁の原画を初披露!頁順に全てを壁に並べました。吹き出しが入っていない原画は、まるでアニメーションのようにより深く物語の世界に誘ってくれます。コマ割で表現される時間、場面の流れは漫画ならではの面白さです。
“あの世”のどこか穏やかな空気感、何処かで見たことのあるような無いような淡々とした静けさが漂う心地よい景色…中山さんのイラストの旨味みたいなものが凝縮されるように、コマいっぱいに塗り込められ鮮明に飛び込んでくるパステルの色彩。ざわつくような力強さを感じて、ぐいぐい引き込まれてしまうのは原画ならではの醍醐味です。
デザインを手がけられたのはtento 漆原悠一さん。そして発行は代官山蔦屋書店さん。
(代官山蔦屋書店 店内。ウェブサイトより拝借しております)
代官山蔦屋書店さんは、私も東京に行く時は必ずと言うほど伺う大好きなお店。一乗寺では味わえないようなキラキラした雰囲気の中、目いっぱいお洒落して、なるべくたっぷり時間を用意して、あれやこれやとゆっくり眺めて過ごしたくなるとても心地よいお店です。そんな代官山蔦屋書店さんが初めて発行されたというこの本。丹精込めて作り上げられた造本もとても美しく、手に取ると少し背筋が伸びるような気がしました。この本づくりに携わった皆さんの手業が集結した、まさに珠玉の一冊です。
今回は、中山信一さんのイラスト付きサイン本もたくさんご用意いただきました。
合わせて、労働讃歌グッズも!ロゴがプリントされたTシャツや、労働疲れを癒やすお風呂で使いたいタオルもとても可愛らしいデザイン。
会場では、中山さんのオリジナルグッズも並びます。ペーパーウェイトやキーホルダー、靴下など、中山さんのイラストが楽しくあしらわれたグッズ、ぜひご覧ください。
今年の春に刊行された中山さんの最新作品集「Memories」は、イラスト35点とエッセイ10話をオールカラーで収録。中山さんの世界観が詰まった見応えたっぷり、当店でも人気の一冊です。京都の某名店を訪れた時のエッセイも必読!今回はここに収録されているイラスト原画も展示販売しています。
ギャラリーを埋め尽くす労働讃歌の世界に、どうぞどっぷり浸かってください。ご来場をこころよりお待ちしております。
「労働讃歌」(作・おおばる/絵・中山信一) 原画展 KYOTO
開催期間:2019年12月10日(火)-12月16日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
ポップポータルサイトKAI-YOU.netに掲載され話題となった、作・おおばる/絵・中山信一によるフルカラー読み切り漫画「労働讃歌」の原画展を開催いたします。大人も子供も読んだ後にほっこりする、ちょっぷり笑えて、ちょっぴり泣ける不思議な転勤物語。展示では「労働讃歌」の原画と合わせて、労働讃歌オリジナルグッズや作画を担当したイラストレーター中山信一の作品なども展示販売します。クレヨンで描かれた色鮮やかな世界を是非ご覧ください。
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「労働讃歌」
作:おおばる
絵:中山信一
デザイン:漆原悠一(tento)
発行:代官山 蔦屋書店
ポップポータルサイトKAI-YOU.netに掲載され話題となった絵物語に、描き下ろしページを加えた豪華版。大人も子どもも読んだ後、心がほっこり暖かくなる絵本です。
<絵:中山信一>
イラストレーター。渋谷ヒカリエ、資生堂など様々な企業のプロモーション用イラストや、ロックバンド・KANA-BOONのグッズイラスト、アパレルブランドbulle de savonとのコラボアイテム、TCC年鑑装丁画など幅広くイラストの仕事を手がける。またHIP HOPユニット中小企業のラッパーとしても活動中。D&AD賞2018 Wood Pencil(銅賞)、JAGDA2018 亀倉雄策賞ノミネートなど受賞多数。
<作:おおばる>
アートディレクター。アニメーション制作やキャラクター開発などを手がける。主な仕事に、NHK Eテレ「オトッペ」のキャラクターデザイン・楽曲作詞、漫画「BIBLIOMANIA」脚本など。文化庁メディア芸術祭アニメーション部門/マンガ部門にて入賞/入選。
(上田)
ギャラリーアンフェールでは、滋賀県信楽で作陶されている西井杏子さんと松波曜子さんのうつわ展を開催中です。
松波曜子さんは、2015年と2016年にも当店で個展を開催いただきました。シンプルだけど、ころころ愛嬌のある佇まいで、毎日使いたくなる器が並びます。うつわにたっぷり温かいものを盛りつけて、手に包めば伝わる優しいぬくもりで暖をとる。キーンと沁みるような寒い季節のならではのしあわせなひとときを一緒に過ごしたくなるうつわたち。
こちらは「たまご皿」。たまごみたいな形に一目惚れして、私も初めて展示いただいた時から日々愛用しています。おやつやちょっとしたおかずをのせるのにちょうどよくて、大活躍のお皿です。
今回は初めて絵皿もご用意いただきました。シンプルなうつわに映える、セピア色のような絵。食べ終わった後に見えるささやかなお楽しみ。
こちらも初めて登場する、色が違う土をパッチワークのようにつなぎ合わせてつくられた模様のうつわ。表と裏でまた雰囲気も変わって、絵とも違って、とてもおもしろい風合いです。
西井杏子さんは、ギャラリーでの展示は今回が初めてだそうです。小さな陶板やお皿に、一つ一つ色とりどりに描かれています。動物や女の子はユーモラスでかわいらしくて、絵本を眺めているよう。
外国のカラフルなタイルみたいな形や絵柄。小さなうつわいっぱいに広がる世界。
「いつもおいしいひとときをくれるお皿」がキャンバスだからでしょうか、手に取ると紙に描かれる絵にも勝るような嬉しい気持ちがこみ上げてきます。
絵画のように飾って楽しんだり、食卓に並べたり、宝物のように慈しみたい美しいうつわをご用意いただきました。
おふたりとも、一つ一つ丁寧につくられた様子が伝わってくるうつわが並びます。いつも暮らしの傍らにあるうつわ、ぜひ手にとってお気に入りをさがしてみてください。ご来場をこころよりお待ちしております。
西井杏子・松波曜子 うつわ展
開催期間:2019年11月26日(火)-12月2日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
暮らしに寄り添う器と、暮らしに彩りを添える器の2人展。
チクチクと縫うように、土をペタペタとパッチワークした白い器や、
植物をイメージした緑の器。
動物や本をモチーフに、色彩と物語が溢れる器。
土の器のあたたかみ、手描きによる一点物のユーモア。
ぜひお手にとってゆっくりご覧頂けるとうれしいです。
(上田)
ギャラリーアンフェールでは、滋賀県・信楽で作陶されているイチテンゴさんによる個展を開催中です。心が躍る楽しい器が大集合しました。
優しい色がふわっとギャラリーに散りばめられた楽しい空間の中に並ぶのは、一つ一つ手描きで絵付けされた器。同じものはふたつとないので、ぜひひとつひとつじっくり眺めて、器との一期一会を楽しんでいただきたい展示になりました。
イチテンゴさんの器はユーモアたっぷりの手描きイラストが魅力。思わず笑ってしまうものや、物語が詰まった素敵な絵柄が色とりどりに並びます。
ずらりと机いっぱいに並んだ豆皿。どれもこれも、目移りするほどかわいくて選ぶのが大変!手のひらほどの小さな豆皿の中に描かれたまるで小さな額縁のよう。
のそのそと近づいてきそうなほど表情豊かな不思議な動物たち。こちらは針山になっています。針仕事が楽しくなること間違いなしです。
こちらはついついにらめっこしてしまうなんとも不思議な表情の花瓶。
この季節に大活躍するマグカップも人気。形も絵柄もいろんなものが揃いました。
楕円のお皿や鉢。イチテンゴさんの世界観が可愛く美しく表現されて目を惹きます。
こちらの鉢はキュウリが描かれました。遠い夏の夢のような爽やかな色合い。
手にとって思わずわーっと声を出してしまった、海の中を描いた大鉢。鉢の曲線と相まって、まるで魚たちが動いているみたい。
イラスト作品のように眺めて楽しめて、さらには毎日使うこともできるのは器ならでは。毎日使う器がこんなだったら、楽しみなごはんやおやつがますます楽しくなりそうですね。ご来場をこころよりお待ちしております。
楽しいうつわ イチテンゴの器 展
開催期間:2019年11月5日(火)-11月11日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
使う方が楽しくなる器を目指して作っております。たのしく手に取っていただけると幸いです。
(上田)
春がはじまる頃に「たまたまであう展」を開催していただいたイラストレーターいちろうさんがまたここに帰ってきてくれました。今回のタイトルは「とびだす日」。数ヶ月かけて描かれた壁いっぱいに並ぶたくさんの作品が届きました。
2017年に初めての個展「どこかのヒトコマ」を当店で開催されてから、今回で3回目。毎回かかさず来てくださる方もいたり、この場所での初めての出会いを喜んでくださる方もいたり、いつもギャラリーで起こる出会いを眺めては嬉しくなります。
今回DMになった黄色いトラックのイラストは、初めて申込みをいただいた時に見せてもらった作品集「笑う門、曲がり道」の一ページ目を飾っていた絵と同じで、久しぶりに大事な友人に会えた時のように嬉しくて、今回はどんな作品がやってくるのか指折り待っていました。
搬入の日、作品の入った大きなカバンを抱えてやってきたいちろうさん。今回は、画用紙やアートボード、ダンボール紙に描かれたイラストも多数。展示中は隠れて見えないものだけれど、絵の裏側には作業机から写った色とりどりのクレヨン屑がたくさんついていて、それがやけにきれいで、じんわりとあたたかい気持ちになりました。
旅した尾道の風景
ココロを持ったロボット
今にもいい匂いがしてきそうでついついお腹も鳴ってしまうおいしそうなごはん、幸せな食卓。
何処かで起こっていそうなすこし不思議な出来事
今回はTシャツやキーホルダーなど新しいグッズも登場。会期中の在廊日には、公開制作や似顔絵もされています。いろんな色を次々重ねて紙の上に広がっていく景色、ぜひ間近でご堪能ください。
いちろうさんの作品を見るといつも感じるこれはなんだろうと、ぼんやり考えてみました。たとえば、子どもの頃、ラムネ瓶から取り出してひとつふたつと集めてたビー玉。ビー玉越しのひっくり返ってぐにゃっとした不思議な景色が、キラキラしていてうれしくて。でもしょっちゅうどこかになくしては見つけるを繰り返す小さな宝物。大それた宝物ではないけれど、ふとみつけたら何かいいことがありそうな気がして嬉しくなる、そんな感じ。
回を重ねていろんな作品に出会うたび、小さくて幸せな思い出が増えていくみたい。相変わらずあたたかくて、でもなんだかスキップするみたいに軽やかにパワーアップした、力の抜けた心地よい力強さを感じる作品が揃いました。いちろうさんの目に映る、頭に思い描く景色を、一枚一枚ココロを込めて描いた作品が並びます。ご来場をこころよりお待ちしております。
<過去の展示ご紹介記事>
どこかのヒトコマ展(2017年11月)
たまたまであう展(2019年3月)
いちろう個展『とびだす日』展
開催期間:2019年10月29日(火)-11月4日(月祝)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
こもって描いていた絵が部屋をとびだして誰かと出会う。
こもって生きていた絵の中の誰かも、誰かや何かと出会う。
とびだした先の知らない世界では、ときどき希望に出会えたりする。
いちろう
1993年生まれ。大分県出身、京都府在住。
http://ichiro5.jimdo.com/
在廊予定:10/29、11/2、3、4
(上田)
ギャラリーでは、壬生川純さんによる木版画展を開催中です。素朴で懐かしさも感じるやわらかい色合い、影や光、遠近が美しく表現された構図。どこか浮世絵のような佇まい、心地よい静けさを感じる作品が並びます。
手漉き和紙の上に、やわらかくのせられた色がふわーと優しく広がる、春夏秋冬。
まだ少し眠い陽が照らす朝靄、穏やかな昼下がり、緑匂い立つ雨上がり、雨すだれ越しの夕空、遠く蝉の声を聞く木陰…
ふと景色を見て「ああきれい」と、なんともなしに思わずため息がもれる瞬間のような、穏やかなひととき。
木版画の美しさ、表現の多様さをじっくりご堪能いただきたい展示になりました。ご来場をこころよりお待ちしております。
壬生川 純 木版画 展
開催期間:2019年10月22日(火)-10月28日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
壬生川 純
福岡県出身
京都の木版画工房に弟子入り
第一回国際版画会議公募展入選
日本版画協会第86回版画展入選
日本版画協会第87回版画展入選
制作ポイント
水性木版と手漉き和紙による『柔らかな色彩』表現
(上田)
ギャラリーアンフェールでは現在、トナカイさんによる写真と詩の展示『五月の虹』を開催中です。
最初に拝見したトナカイさんの写真集「五月の虹」がとてもあたたかくて優しかったので、展示紹介のためのコメントが届いた時、序文でとても違和感を覚えてしまいました。「生きることは地獄です」そう言い切るトナカイさんの言葉に驚いてしまったのですが、最後まで読んで、これはなんて優しい言葉なんだろうと、違う驚きに変わりました。
この地、この時に生まれて、生きていくことは何かと大変だけれど、ただ生きて道端に咲く小さな草花が見せてくれる美しさと同じように、「大丈夫、あなたは美しい」と語りかけてくれる写真と言葉。
生きるための営み、まっすぐに捧げる祈り、通りすがりの光景、愛する人…
はじめてお会いしたトナカイさんは、想像していたより大きくて、少しゆっくりとした時間を纏った穏やかで柔らかい雰囲気の方でした。生きることへの絶望感、地獄の中で、ほんのささやかな美しさを見つける目を持つ人。
何も言わずただ私達の目の前に現れて、何も言わず消えてしまう七色の奇跡のように、金色に包まれる日だまりのように、そっと頬をなでてくれる風のように、ふとした瞬間ふいに心に届くささやかなやさしさ、美しさを、写真という形にして教えてくれる。生きてたらいいこともあるもんだと、とても素直にそんなふうに思えました。
連日、とてもたくさんの方にご来場いただいています。誰かと一緒ににこやかに過ごす人もいれば、一つ一つの作品とじっくり向き合う人、さらりとみていく人、涙を流す人…ギャラリーの中をいろんな気持ちが行き交ってなんだかとてもドラマチックで、私はその様子になんだかじんわりと胸があたたかくなりました。トナカイさんの展示の意味を、何より訪れる人たちの顔が教えてくれるよう。
一人でもたくさんの人に、通り過ぎてもらいたい場所になりました。ご来場をこころよりお待ちしております。
トナカイ 写真と詩の展示『五月の虹』
開催期間:2019年10月8日(火)-10月14日(月祝)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
生きることは地獄です。それはもうずっと、僕の変わらない感覚です。どうしてこんなにも、ただそこにいることが許されないような感覚を、僕たちは持ち続けなくてはならないのでしょうか。努力とは生命の必要最低条件なんでしょうか。そんなはずはない。草花がただそれだけで美しいように、僕たちは生きているだけで美しいということを、繰り返し伝えなければいけないと、僕は思っています。僕が写真を撮る理由はそこに集結していて、撮るということが「あなたは美しい」という事実になって永遠に記録されればいいと願っているから、ただそれだけです。展示をする理由は、僕のその願いをかたちにして、見せたいと思うからです。必要のない人には、まったく必要のない展示です。しかし、必要なひとには伝わってほしい。あなたは大丈夫なんだと、魂に届く写真で、言葉で、伝えたい。
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作者:トナカイ なぜトナカイという名まえなのか、よく尋ねられるのでお答えします。むかしむかしmixiというサービスを使うにあたり、何か動物の名まえをつかおうと思いたち、皆がよく名乗るくまや猫のような動物ではなく、それなりに珍しく、しかし誰もが知っていて、悪い印象を持っていない、そんな動物を考えていて、ふと、トナカイが浮かび、それをスクリーンネームにしたのがきっかけです。僕は、実在する、現実を生きる会社員です。東京を歩いています。写真を撮り、詩を書いています。(twitter:tonakai)
(上田)
ギャラリーアンフェールでは、イラストレーター reiko matsunoさんによる個展「いきもののようなもの IKIMONO NO YOUNAMONO No.01ー300」を開催中。連日たくさんの方にご来場いただいています。
matsuno reikoさんは、当店でも配布しているフリーペーパー「原始」を発行されているので、ご存知の方、見覚えのある方もいらっしゃると思います。A3サイズ一面に描かれた毎号色とりどりのイラストが楽しめる人気のフリーペーパーで、いつも早々に配布終了していますが、今回はなんとバックナンバーも販売!もらい損ねた号がある方はこの機会にぜひチェックしてみてください。
今回の個展では、そのmatsunoさんが2018年10月14日から一日一つずつ、その日の気分で思うままに描かれた、ふしぎな“いきもののようなもの”のイラスト原画が300点、賑々しくギャラリーにやってきました。
毎日、その日の直感にまかせて思うまま、matsunoさんの意識と無意識の間から、紙の上に出現した色も形もいろいろなふしぎなもの。その瞬間にmatsunoさんの頭に浮かんだ形を成すか成さなかったものが、紙の上に立ち現われて存在を得て、壁一面に並ぶ姿がなんだかとてもうれしそうだったり、はずかしそうだったり・・・印象は出会った人によってさまざま。入口に掲げられた“みんなそれぞれ「全ては完璧で、全ては不完全」”というmatsunoさんのメッセージからは、なんだか深い眠りにどっぷり浸かっていく心地よさや不安というか、とてもとても大きなものを感じます。
それぞれに名前はないけれど、小さな特徴が添えられていて、そこから動きや声をイメージしながらいつまでも眺めていられます。原画は全て販売されており、その日のうちに連れて帰っていただけます。
いきもののようなものたちの、マグネットや陶器などグッズも人気。
こちらは作品集。今回展示されている01-300番のいきもののようなものが収められました。図鑑みたいで楽しい一冊。
会期中は毎日matsunoさんも在廊されていて、公開制作もされています。壁に並ぶいきもののようなものを生み出した肝っ玉母さん、楽しくてパワフルなmatsunoさんと、ご来場の際はぜひおしゃべりもお楽しみください。
いつも眺めていると、なんだかしゃべりかけられているような気がしたり、時折目が合ったような気がしたり、やけに気になるものがあったり・・・ぐにゃぐにゃと今にも動き出しそうに賑やか。本当にいたらちょっとびっくりするかもしれないけれど、ちょっと会ってみたい気もする、いきもののようなものの大行列、ぜひじっくりお楽しみください。ご来場をこころよりお待ちしております。
「いきもののようなもの IKIMONO NO YOUNAMONO No.01ー300」reiko matsuno
開催期間:2019年10月1日(火)-10月7日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
2018年10月14日から一日一つ、いるような…いないような…いきもののようなものをInstagramに載せています。(@ikimonono_younamono)今回はそのいきもののようなものNo.1-No.300までの原画を全て展示いたします。みなさまのお越しをお待ちしております。
〔profile〕
reiko matsuno
香川県在住。イラストレーター。京都芸術短期大学卒業。デザイン会社や印刷会社での勤務を経て現在は保育所で子どもたちと一緒に絵を楽しむ毎日。
https://reikomatsuno.jimdo.com
(上田)
ギャラリーアンフェールでは、京都精華大学デザイン学部グラフィックコース2年生の学生さんによる授業成果展を開催中です。手仕事による印刷から生まれる風合いを大切にしたデザインを学ぶ授業の成果発表。学生さんそれぞれの楽しい発想で生まれたいろんな印刷作品が並びます。
こちらは「ニューテヌグイ」。これまで手ぬぐいにはならなかったような意外な組み合わせの二つのモチーフを選んでデザインするという課題でつくられたシルクスクリーン印刷の手ぬぐいです。
柿と牡蠣、大福とWi-Fiなど…なんでこの二つの組み合わせなんだろう?と隠れた洒落を考えてみるのもとても楽しい手ぬぐいが並びます。手ぬぐいにつけられたピンク色のタグには学生さんがデザインした「ニューテヌグイ」のロゴマークも。
こちらはガリ版印刷でデザインされた葉っぱと、エンボス加工でつくられた文字の額装作品。
ガリ版で表現される葉っぱの葉脈は愛らしく、ポストカードサイズの紙の中に思い思いにデザインされています。
針金で形を作って紙にプレスするエンボス加工。こちらは絵文字だそうで、針金を曲げて一筆書きでデザインされた楽しい文字が並びます。なんの文字がぜひ当ててみてください。
こちらは「ワンダーKYOTO」。学生さんたちそれぞれが、GW中に巡ったガイドブックには載らない京都の穴場を絵日記のように記事にして、一頁ずつガリ版で印刷された冊子です。
ページいっぱいに並ぶ文字も、細かい挿絵も全て手で削って版をつくられているので、みんな手が痛くなったそう!そんな苦労もあってか、どのページも見応えたっぷりに楽しませてくれます。パソコン文字とは違う柔らかい風合いで、読みすすめるのが楽しくなります。
会場には毎日学生さんが交代で在廊してくれています。そして在廊中はガリ版缶バッチワークショップも開催!
学生さんが丁寧に手助けしてくれて、私も挑戦してみました。蝋引きの紙をガリガリ削って絵を描いてインクをのせて、印刷された様子を見た時はなんだかえらく感動してしまいました。缶バッチはお土産にひとつお持ち帰りいただけます。ぜひ皆さんも体験してみてください。
プリンターでなんでもすぐに印刷できるのもとても便利だけれど、手間隙かけて手仕事でつくられる印刷は、眺めているとなんだかホッとしました。学生さんそれぞれのユーモアたっぷり、思い思いに制作された作品が並ぶ、楽しい展示になりました。ぜひお立寄りください。ご来場をこころよりお待ちしております。
「RETRO PRINT MUSEUM」
京都精華大学デザイン学部グラフィックコース2年生による
授業成果発表展
開催期間:2019年9月24日(火)-9月30日(月)
開催時間:10:00-21:00(最終日は16:00まで)
開催場所:ギャラリーアンフェール
手仕事による印刷から生まれる風合いを大切にしている授業です。この展示では、ガリ版で作られた本、シルクスクリーンで刷られた手ぬぐいなどを展示します。
「ワンダーKYOTO」
誰も知らないもう一つの京都を紹介するガリ版で刷られた本。
「ニューテヌグイ」
二つのモチーフを組み合わせて作られた今までなかった新しい手ぬぐい。
ご高覧いただけましたら幸いです。
<会期中にはガリ版缶バッチワークショップを開催>
ご希望の方から随時ご案内差し上げます。
※体験料無料、在廊時間のみの受付となります。
(上田)
京都もここ数日でずいぶんと秋らしくなりました。ギャラリーアンフェール店内では、静かな秋の夜長、ゆったりと過ごす時間の傍らにちょうどよい活版印刷のものを揃えたフェアを開催中です。
東京・荒川区に工房を構え、ご夫婦で活版デザインのものづくりをされているまんまる◯さん。まんまる◯さんはオリジナル商品の他にも、さまざまな作家さんとのコラボレーションで紙雑貨や本もたくさん制作、出版されています。今回当店では初めてのご紹介となる作家さんも多く、新しい出会いがとても新鮮!賑やかなフェアになりました。
こちらは、坂本ヒメミさん。繊細な線で外国の古い本の挿絵のような美しい絵を描かれています。今回のフェアでお披露目となる2020年カレンダー「活版印刷術による数字絵暦」。ポストカードサイズなので、額に入れたり、本に挟んだり…お気に召すまま一年を通して楽しめます。眺めるほどにうっとりする美しい構図でつくられた1から12の数字絵がデザインされ、活版印刷の手技を堪能できる逸品。一緒に展示されたまばゆい黄金色の板は、印刷に使われた版。思っていたよりも軽くて薄くて驚きました。
昨年11月に開催された初個展「Otherworldly」の図版集も販売。この個展で展示されていたという鏡の作品も今回特別にご用意いただきました。鏡越しに一緒に写真を撮って遊べます。ぜひお楽しみください。
(坂本ヒメミさんの各画集は恵文社バンビオ店オンラインショップでもご購入いただけます。)
イラストレーターたじまなおとさんは、可愛らしくて楽しくてユーモア溢れるイラストが魅力。今回は、2020年カレンダーをご用意いただきました。「コーヒーのあるくらし」をテーマに、いろんなシーンでほっと気持ちをほぐしてくれるひととき、思わず笑みがこぼれるような楽しいイラストが月々に添えられています。コーヒー好きな人にぴったりのカレンダー。コースター(もちろん活版印刷)のおまけ付き!
こちらは活版印刷ポスター。原画も一緒に展示しています。ぜひ合わせてご覧ください。
造本が楽しい、画集「たのしいくらし」も好評です。カレンダーのイラストも収録されています。
イラストレーターももろさんからは「ももろ ペーパーワールド」2種が届きました。表情豊かな動物たちが紙の上をころころころがるような可愛らしいイラストが50点、一頁ずつ収録されています。画集として楽しむのはもちろん、一枚ずつ切り離すこともできるので、お手紙にしたり何かを包んだり、どれを使おうか、どうやって使おうか考えるのも楽しい一冊です。
Naffyさんは、幻想的な世界を描いた文字のない絵本を出品いただきました。優しくて、淋しくて、頁をめくるたびにぽっぽっとあたたかい灯がともるとてもすてきな物語。文字のない静かな佇まいがより惹き立つ美しい造本、函からとり出して本を開くひと手間が、物語の世界へ誘ってくれる儀式のよう。一頁一頁じっくり味わいたい絵本です。
山田ユギさんは、働く男図鑑と題した活版印刷カードの数々。みんな格好良くてついにやにや…選ぶのが大変!それぞれ吹き出しがついていて、優しい言葉を添えるのもよし、檄を飛ばすのもよし、どんなメッセージを贈ろうか考えるのも楽しい。しっかりメッセージを伝えてくれそうな頼もしいカードです。
こちらは「12カ月のティータイム」カレンダー。おおでゆかこさんの動物たちの可愛くてカラフルなイラストと、メリリルさんの季節に合わせた美味しそうなティータイムレシピがひと月ごとに収録されています。「ミモザみたいなオレンジサイダー」「春の終わりのいちごミルク」「夏休みのスイカジュース」「ふんわりナッツミルクティー」楽しいレシピが並びます。こちらは2019年カレンダーですが、イラストレシピ本としてぜひ長くお手元で楽しんでいただきたい一冊です。ティータイムに大活躍してくれる活版コースター付!
こちらはイラストレーター井田千秋さんのカレンダー。以前当店でもイラスト集を販売させていただき大好評だった井田さん。三ヶ月毎それぞれに活版印刷のカードが添えられています。活版印刷の風合いと、優しい雰囲気のイラストがぴったりで、作品の世界観がいっそう惹きたちます。 今年のカレンダーですが、来年3月までまだまだお楽しみいただけます。
作家さんとまんまる◯さんがこだわりぬいて拵えられた、ものづくりの粋が一堂に会しました。どうぞたんとご堪能ください。ご来場をこころよりお待ちしております。
(銀河鉄道の夜をモチーフにしたカードブック等、まんまる◯オリジナル商品のご紹介はこちら)
まんまる◯「紙と本をたのしむ秋」フェア
開催期間:2019年9月16日(月)-30日(月)
開催場所:ギャラリーアンフェール店内
(上田)