第二十八回 keiokairai

Share on Facebook0Tweet about this on TwitterShare on Tumblr0Share on Google+0

当店の近隣ショップをご紹介するこのコーナー、久しぶりの更新です!
パン屋、手芸店、もんじゃ焼き屋など、新たなお店も増えてきた一乗寺界隈。今回は、当店から徒歩1分ほど、オーガニックスーパーHELPさんの並びに位置する、keiokairai(ケイオカイライ)さんを訪れました。今春、同じ左京区内で営んでいたショップsalmiakki(サルミアッキ)を現在の場所に移し、それに伴い店名もkeiokairaiに変更されました。salmiakkiといえばフィンランドのにが〜いお菓子の名前。ということは北欧雑貨のお店でしょうか?お店を営む、宮脇美和さん、宮脇啓さんご夫婦に尋ねてみました。

4

ー(keiokairai店内をぐるりと見て)あ!
壁にあるのは先日、着ていらしたワンピースですね。

宮脇美和さん(以後の表記はM):ええ、そうです!フィンランドのアレラというブランドなんですが、日本ではウチでしか取り扱いがないブランドです。もともとカシミヤニットの会社なんですけど、ほんとにいい素材を、お手入れしながら長く着ていただくというのが、この会社が一番大事にしているところです。年々、見せたくない部分が少しずつ増えてくるのを隠しつつ、女性らしいきれいなラインを引き立てるので、幅広い年齢層の方に支持いただいていますね。

2 1

ーこのようなフィンランドの商品も扱いつつ、他国のアイテムも販売しているのでしょうか? 
M:はい。ただ、salmiakkiはオンラインから12年、実店舗だけだと丸8年フィンランド専門でやっていたので、ベースはフィンランドです。

ー12年!元々、販売関係のお仕事をされて?
M:全然畑ちがいです!夫は建築関係で、私は医療関係で…。まったく、はい、雑貨屋さんで修行をしていたこともなく、物販を行ったこともなく。

ーそれなのに、お店を始めたきっかけというのは?
M:もともと、彼が若い時から古着が好きで、アメリカに行って古着を買い付けて、自分の店をいずれ持ちたいという…。

宮脇啓さん(以後の表記はT):ずーっとはね、若い時から考えてはいたんです。その時から北欧デザインが気になってたんで、絶対見に行きたい!というのでなんだかんだで旅行に行って、その時にはまったのがきっかけですね。まだほんと北欧ブームなんて、観光本で1冊とりあげるぐらいの頃ですかね。それで、やっぱ何回も足を運びたいなってなったときに、これを職業にしたいと。お店もしたかったのと、ヴィンテージってものに惹かれていて「あ、これなら行ける」というのがなんとなくあったので。そんなんでsalmiakkiはスタートしたんですね。

ー長くお店を続けてこられて、今年の6月にこの場所に移られたのですね。
M:(salmiakkiは)7坪ぐらいでやっていたので、広いところでやりたいというのはずっとあって。次のステップはどんな形にしようというのはずっと話し合っていたのですが、フィンランドを広げるというよりも、コーディネイトの楽しさを追求したいなと。
いまは何でも簡単に手に入って、みんなが持っているから良い、安心、となっている気がします…作家さんブームとかあっても結局、この作家さんのもっていれば良いみたいな流れになってますよね。
でも私たちはフィンランドのものを通して、ものを大事にするっていうことを学んだんです。それはただ長く使う、リペアして使うということだけではなくて。私たちは作家さんのようにいいものを作るという立場ではないので、じゃあ物販として何ができるんだろうと考えた時に、お客さんがいらないものは売らないとか、自分のスタイルにあわないものは買わせないというのが究極のところなのかなあと。
自分に合うか合わないか、自分のものさしで選んで良いんだっていう発見をしてもらえたら、ものを提供する身としても嬉しいなと思って、セレクトの幅も広げました。 「継往開来」 *1)という四字熟語も、私たちの気持ちにフィットしたので、じゃあこれを店名にしようと。

T:フィンランドの店(salmiakki)を長くやっていたんで、そういう考え、感覚ってすごく学んだんですよね。次から次と新しいものっていらないなって。

ーそこまでフィンランドに惹かれる理由って何でしょう?
M:みんなが無理していないところですね。日本でわーって頑張って暮らしていると、フィンランド行くたびに、せやせや、こんなんでよかったよな、目の前の人に失礼がなければ良いよねって。お店に行っても、「電話しに出かけます」と書いたメモを残したまま店主がいないような、気ままなお店もすごく多くて!紙袋を出口まで持って行ってありがとうございましたって言ったり、過剰な梱包をしたり、そういう形で表現するおもてなしじゃなくて、本当にお客さんが求めているものに返せたら、やり方は何でもいいやんな、これでいいよねっていうのを、いつも行くたびに思い出せてくれる場所です。

5

ーこれからのお店の展望を教えていただけますか?
M:12年フィンランドのお仕事をさせてもらえたので、いつも大きなサイクルを考えていて。 フィンランドから年々、ビンテージのものがなくなって、すごーく嫌な気持ちになったんです。私たち日本人バイヤーが根こそぎ買い占めて、日本で売って売って、結局、現地にものが無くなって。フィンランドでは、自分が使わなかったら売る、誰かが買うという永遠にまわっていたサイクルから日本人が持ち帰って、1回売って終わっているですよね。北欧ブームにのって買った人のものも、自分のスタイルに合わなくて使いこなせなくて家で眠っているということも多いと思うんです。フィンランドデザインはフィンランドにあったほうがいいじゃではないかという葛藤と、自分たちがやっていることがすごい悪いことをしている気がして…じゃあ何か返せるものを考えようというので、日本で誰もとりあげていないフィンランドのブランドさんを紹介して、少しでもサイクルを作りたいなって。

ーなるほど。何十年前のものであっても実用に適っていたり、デザインが優れたものは本当に色あせず、長く使えるものですよね。むしろ、古い道具の中にこそ豊かさを感じることも多いです。ただ…、どれだけ悩んで選んだものでも、そのあと自分の好みが変わることで、使わなくなってしまうものはありますね。
M:まさにそんな、日本にある北欧の無駄になっているものを動かすリサイクルマーケットを今まで3回、開催してるんです!そして今後も循環するようなことはやりたいなとは思っています。
このアレラってブランドも、会社の販売したものをもう一度会社が買いとりして、手入れをして、再販するというセカンドサイクル活動をしているんですよね。売って終わりじゃなくてボロボロになったものは糸に、素材におとしてもう一度カシミヤのアイマスクをつくったりしています。ほんとそれってフィンランド的。そういうことも含めて行っていけたらなと考えています。

物を販売してからの、その先のサイクルまで考えた商い。その姿勢を表す企画として、keiokairai店内のギャラリー*2)では2018年7月21日(土)-8月16日(木)まで「くせ者くせ物」展が開催されました。周辺の個性的な作家さん、店主さんが所有している、くせのある物が出品され、価値を見出した人が入札する、オークション形式のイベント。当店も出品者のひとりとして参加させていただきました。会場に集まったのは食器、布、人形など、時代も国も違うさまざまなアイテム。必要とする人の手元にあってこそのものの価値、ものを買うことの本質を改めて考えさせられました。今後も同店3階では、魅力的な企画展が続くそうです。

*1)継往開来(ケイオウカイライ) 意味:先人の事業を受け継ぎ、未来を切り開くこと。過去のものを継続し、それを発展させながら将来を開拓していくこと。
*2)keiokairai店舗は3階立て! 1階は雑貨や衣類の販売、2階はフィンランド家具NIKARIのショールーム、3階はギャラリースペースとなっており、一角では「好事家 白月」のお店が不定期でオープンしています。

取材:田川、萩原 写真:高田
取材日 2018年7月31日

5 3

keiokairai
〒606-8185  京都市左京区一乗寺高槻町28-2 keiokairai-bld.
TEL: 050-7121-2850
HP: http://keiokairai.co/