テーマ「自転車」

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往復便多とは?
ホホホ座のデビュー作「わたしがカフェをはじめた日。」(インディーズ版)の特典として付けられた、ホホホ座編集者同士の往復書簡をルーツとする。今回は組織を越え、恵文社とホホホ座で、様々なテーマを題材に語り合います。

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テーマ「自転車」

 

恵文社T:左京区は学生街ということもありますが、本当に自転車の交通量が多い!オシャレだったり、創意工夫を凝らした自転車で走っている方をよく見かけます。

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ホホホ座M:僕自身にはオシャレに自転車を乗りこなす文化はないのですが、完全に日常の足になっているので、壊れたりした時の喪失感が尋常じゃないのです。「もう、俺はどこに行くこともできない」というくらい。

恵文社T:そうですね。今まで2度ほど自転車を盗られていますが、日常生活に与えるダメージは大きく…。バスや地下鉄もありますが、やはり身軽に街中を動き回るには代え難いものです。出町柳と四条にあるレンタルサイクルえむじか(*注1)さんなどは、観光客の方に嬉しいお店なのではないでしょうか。私は利用したことがないのですが、確か1台ずつ自転車に名前がついていたような。
全く関係ありませんが、Mさんの自転車についている荷台の木箱は、元々何の箱なのでしょう?便利そうです。

ホホホ座M:あれは貰ったものなのでわからないんです。水を汲みに行くとき(*注2)便利だな。と思って。重いものを運ぶ場合、前かごより後ろの荷台の方が安定するので。自転車には機能的な便利さもありますが、乗っていると街の風景がよく見える。という便利さもあります。僕の場合ですが、街ネタを拾うことも仕事のひとつなので。

恵文社T: なるほど。
自転車だと小回りが利くので、その時の気分で裏路地に入ってみたりと、探検気分で新しい京都を発見できるのが楽しいですよね。また京都の街中を走っていると、よく目につくのが「ゆ」ののれん。銀閣寺湯や洛東湯など、老舗の廃業が続いているとはいえ、やはり京都は銭湯文化が根付いている(*注3)と思います。汗を流してスッキリした後に、夜風に吹かれて自転車を走らせるのは格別。

ホホホ座M:お風呂屋さんは大体裏路地にありますからね。京都らしい路地、といえば西陣なのですが、意外と広範囲で、歩くとなかなか大変なので、西陣の街散策をするのなら断然自転車がおすすめです。観光地というより生活圏なのですが、「京都っぽい」目線ではなく、下町的な暮らしの風景を観察するのがものすごく楽しくて、定期的に出掛けています。細い路地が入り組んだ複雑怪奇な地域なので、道に迷ったりはしますが、東西南北の大きな通りには必ず出るので迷っても全く問題はありません。むしろ、知らない通りに出会ったりすると感動します。僕にとっては、あえて迷いに行く場所です。

恵文社T:確かに、いつまでも知らないことがある、まちの深度が大きいのが京都の魅力と言えます。早川茉莉さんが編んだアンソロジー『京都好き』が刊行されたばかりですが、その解説において須賀敦子『塩一トンの読書』(河出文庫)の冒頭の一文、
「ひとりの人を理解するまでには、すくなくとも、一トンの塩をいっしょに舐めなければだめなのよ」
を引用し、京都の把握しきれなさを紹介されています。本書は武田百合子や植草甚一から、いしいしんじ、姜尚美、山本精一など29名の「京都」エッセイをまとめたもの。村上開新堂菓舗の好事福盧を嬉々として買って帰ったという、池波正太郎の名エッセイや、ナカムラユキさんが西陣で見つけた昔ながらの文具店に関するお話など、同じテーマを扱いながらも、描くのは別個の風景。京都が住みよいがどうかはその人次第として、数年暮らしただけでは理解できないまちだからこそ、飽きずにふらふら向かいたくなるのでしょう。

ホホホ座M:把握しきれない、理解できない、ということは、良い意味で街が混沌としているからだと思います。清潔で機能的になりすぎた街にあまり魅力を感じません。機能的な移動手段(バス、地下鉄など)は、便利ですが街の姿が見えにくくなりますよね。 京都の混沌を楽しむには「自転車」というのが、ぴったりのような気がします。
この『bizou 16ans Le 16eme CD de memoire commemoratif』というCDは、京都の美容室が作ったものなのですが、オクノ修、ふちがみとふなと、など、京都のミュージシャンが大挙して参加しています。収録曲すべてがご近所感覚というか、自転車でふらりとやってきて録音したような(実際そうだったらしい)リラックスした雰囲気なのですが、同時に、底の見えない京都の「混沌」も感じて、本当に京都っぽいなあと思います。

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京都好き あの人が見た、食べた モノ・コト(PHP研究所)
早川茉莉/編
定価850円+税

 

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bizou 16ans Le 16eme CD de memoire commemoratif
定価2000円+税

 

(*注1)レンタルサイクルえむじか
京都人の人間交差点にもなっている名物レンタサイクル屋。使い方に応じて様々なプランがあり、便利。自転車はすべてママチャリ。というのもいさぎよい。
http://emusica-dmcy.com/

(*注2)水を汲みに行くとき
京都には湧き水スポットが意外とたくさんあり、飲食店から一般の人まで利用者は多い。恵文社近くの赤の宮神社にも「波爾井(はにい)の御神水」という名水があるが、水量が少なく大量に汲むときは時間に余裕を持って訪れた方が良い。
https://kanko.city.kyoto.lg.jp/detail.php?InforKindCode=1&ManageCode=1000334

(*注3)京都は銭湯文化が根付いている
もともと古い町家には内湯がない場合も多く、銭湯(かつて関西では「風呂屋」「お風呂屋さん」と呼ぶことが一般的だった)は、他府県の方が思っている以上にポピュラーな存在。京都の友だちの家に遊びに来て、みんなで銭湯。というのもよくある光景。