第二十七回 アカツキコーヒー

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2009年に一度連載が終了した連載『お店探訪』。この連載ではわざわざ遠方からお越しいただくお客様のために、当店の帰りにふらりと寄ることの出来る周辺のお店を取材形式でご紹介。この度連載復活!とまでは行きませんが、この5年で新しく素敵なお店も増えてきましたので、少しずつご紹介できればと思っております。今回は恵文社から歩いて徒歩5分ほど、アカツキコーヒーさんにお邪魔しました。

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- 一乗寺界隈で新しくオープンしたカフェというイメージが強いのですが、実際はオープンからだいぶ日が経っていますね。お店を始められたのはいつ頃でしたっけ?

(以下、N「」はご主人のナカシマさん、M「」は奥さんのマユコさん。)

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M「2012年の10月末ですね。もともと二人とも飲食の仕事をしていて、それでいつかは独立したいなということでお互い別々に喫茶とケーキ屋さん…と将来を考えていたのですが、どうせなら一緒にやったらいいんじゃないってことで、このお店を始めることにしました。二人ともあまり組織で働くのが性に合わなかったので、自分たちのペースでできることをやりたいなと考えていました。」

- なるほど。なぜ一乗寺という場所を選ばれたんですか?

N「もともと僕の出身が左京区で、土地勘があるっていうのもあってざっくりと左京区内で探していました。ここはたまたま車で通ったらある時「テナント募集」になっていて。過去にタイミングなどが合わずなかなか場所が決まらなかったこともあり、すぐ連絡して大家さんとのご縁もあり即決しました。元々はオイルを取り扱う会社の倉庫だったようで、内装はガラリと変えて今のような感じになっています。」

- 外観のイメージそのまま、店内の色味も落ちついていて、何と言ってもとても静かです。そういえばBGMがかかっていないのがアカツキコーヒーさんの特徴かと思いますが、これも雰囲気作りの一環なのでしょうか。

M「実は最初はBGMを流すつもりでスピーカーの配置なども考えていたのですが、予算の都合で後回しに(笑)。音響機材にこだわるよりエスプレッソマシンとか、他の内装に力を入れたくって。音響機材を導入するにしても本格的にしたくって、開店後ゆくゆくはつけようかなと思っていました。そしたら意外とBGMがなくても違和感がなくって。お客さんにもないのが新鮮という風に言ってもらったりして、今のところはこのままで行こうかなと思っています。」

- BGMがないこともですが、内装の色合いや使われている食器なども静かな雰囲気を演出していますよね。なんとなく北欧っぽい店内なのですが…やはり北欧をイメージしているんでしょうか?

M「デザイナーさんと相談しながら、全体のイメージというよりどういう食器を使いたいか、どういうエスプレッソマシンを入れるか、カウンターは開けた感じがいいなど、具体的に考えていたら今のようになりました。使っている食器がルスカ*1だったり、ITTALAのものだったり、北欧のものが好きっていうのはありますね。他にも日本の東北のものとか…。店内のブルーグレーのカラーは、本当はもっとグレーよりのブルーを想像していたのですが、自分たちで色を作って塗り進めているうちに思ってたのと違う明るいブルーになっちゃって。最初は納得いかなかったんですけどお客さんも褒めてくれるのでこれでいいのかなと。今では気に入っています。」

- 綿密に計算し尽くされているように思いましたが意外といきあたりばったりなんですね(笑)。

M「そうなんです(笑)。床もよく見たらヘリンボーン*2が半分だけとか…ヘリンボーンの床は譲れなかったんですけどこれも予算の都合で…。建築関係の方から見ると変な床の張り方って言われます。」

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- いただいているコーヒーやケーキ、本当に美味しいですね。どこかで修行などされていたのでしょうか?

N「僕は大学生の時から喫茶店やカフェで働いていて、妻は製菓の学校を出てケーキ屋やカフェで働いたりしていました。僕たちが出会ったのも同じカフェで働いていたからで、僕がコーヒーを入れ妻がケーキを作っていて…そこで同じ目標を持っていることがわかって、結婚して店を開けることになりました。」

- アカツキコーヒーさん、コーヒー豆は元田中のWEEKENDERS COFFEE*3さんのものを使用しているとお聞きしましたが。

N「そうなんです。もともと二人ともWEEKENDERS COFFEEさんのコーヒーが好きで、喫茶のある時代によく飲みに行き、金子さん*4にマニアックな質問などしているうちにいろいろ教えてもらったりして繋がりができました。何と言っても信頼関係がありますし、安心して美味しいものを提供してくださるので。ゆくゆくはWEEKENDERS COFFEEさんの豆もここで販売したいなと思っています。」

- それは素敵ですね。個人のお店だと自家焙煎をやっているところも多いですが、ナカシマさんは今後自家焙煎も?

N「よく聞かれるのですが、今のところ全く考えていません。金子さんとはこまめにやり取りさせてもらってますし、確実に美味しいものを提供してくださるので、僕自身が焙煎したいとは思いません。僕は豆の状態をしっかり把握して、その豆をいかに最高の状態で抽出するかということが仕事。毎回どういう状態の豆を使っているか、1杯のコーヒーを入れるのに何グラムの豆を使い、どれぐらいの粗さで豆を引くか、蒸らし時間はどのくらいか、など細かなレシピに作ってなるべく人の手による味のブレがないように心がけています。豆によってレシピも違うし、レシピ自体もどんどん変わっていきます。コーヒーの世界は日々新しいことの発見ばかりで飽きませんね。」

M「ずっとコーヒーのことばかりを考えているんです(笑)。」

- 本当、職人さんですね。お客さんはどのような客層の方が多いですか?

M「土地柄、やっぱり恵文社に行かれた、もしくはこれから行くんだろうなというお客さんは多いですね。始める前から恵文社のお客さんも少しは来てくれるかな、とは思っていたのですが予想以上にたくさん来ていただいてます。でも一乗寺のおじいちゃんおばあちゃんや、お子さん連れの家族など、地元のお客さんもたくさん来てくださりますよ。うちにはコーヒーチケットがあるんですが、最近のカフェではあまり見かけないみたいで。喫茶店好きの年配の方なんか「ここコーヒーチケットあるんや、懐かしいな〜」といってチケット買って定期的に来てくださったり。」

N「うちは観光の方も地元の方もたくさん来てくださるので、1回きりのお客さんも毎日来るお客さんも、どちらのお客さんにも楽しんでいただけるようなコーヒーをお出ししたいと思っています。もちろん業界の人から見てしっかりしたものを提供したいですが、だからと言って敷居を高くするのではなく、どんな方にもコーヒーを身近にあるものとして楽しんでいただけると嬉しいですね。」

ご夫婦で切り盛りされているアカツキコーヒーさん。飲み物はコーヒー、食べ物は主にサンドイッチとケーキというシンプルな構成ながら、提供するものに対する真摯な姿勢がひしひしと伝わってきました。ご近所のWEEKENDERS COFFEEさんの豆を使ったコーヒーはもちろん、パンは自家製粉した小麦を使うこだわりのお店・下鴨にあるナカガワ小麦店のもの使うなど、京都の土地で小さくも確実なものを提供するお店とのゆるやかなつながりも。ゆっくりと時間を過ごしたいときにオススメのお店です。

*1 フィンランドARABIA社「RUSKA(ルスカ)」、フィンランド語で「紅葉」を意味するシリーズ。独特の抽薬により、一つ一つ風合いが異なります。当店でも一部お取扱い:http://www.keibunsha-books.com/shopdetail/000000017114/
その他お求めのものがございましたら、お気軽にお問い合わせください。 *2 ヘリンボーンは、模様の一種。開きにした魚の骨に似る形状からニシン(herring)の骨(bone)という意味。加工、施工時間が掛るため、通常のフローリング張りに比べて価格が高くなる。
*3 恵文社のある一乗寺駅の一駅前、元田中駅すぐそばにある焙煎所。現在は喫茶営業はありませんが、立ち飲みで店内のコーヒーをお楽しみいただけます。
*4 WEEKENDERS COFFEEのご主人、金子将浩さん。

(冨永&森)

アカツキコーヒー
〒606-8182 京都府京都市 左京区一乗寺赤ノ宮町15-1 1階
TEL:075-702-5399
営業時間:9時~18時(ラストオーダーは17時20分)
定休日:日・第二水曜日 ※臨時休業の場合がございます。遠方からお越しの際は上記までお電話下さい。