第十二回 星直樹さん(フリーペーパー『ロック自身』発行人)

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左:当店店長 右:星くん

個性豊かな作家さん、アーティスト、取引先の皆さんと毎日のように関わりながら成り立っている当店。そんな人々を探れば自ずと店の輪郭までもが浮かび上がるのではないかということで、スタートしました連載「いちじょうじ 人間山脈」。
今回は、店長が私財を投じてスポンサーとなっている(最近は広告費滞納中)今時珍しい全編手書きフリーペーパー「ロック自身」発行人であり、ロック自身社代表である星直樹くん。従業員をバンドに例えることでも知られる定食屋好きの彼に、一乗寺を代表する大衆中華食堂、聚楽亭でがっつり夕食を食べながらお話をうかがってきました。誰にも頼まれずに数十号フリーペーパーを発行し続けるそのモチベーションとは?

―最近は(『ロック自身』を)発行してないの?

そうですね~。もう一年になるのかな。いろいろ溜まってるんですけど、いまは沈黙期間ということにしてます。沈黙期間ってカッコいいかな~と。一年前に出した58号でストップしてるんですけど、うかうかしていると後続の人たちに抜かれちゃいますね。「よくがある」*1とか手堅く出してますもんね。でも誰にも言われませんよ、出せなんて。誰にも会ってないってのもあるんですけど。ライブもしばらくしてないな~。まほろばで泥酔してからなんか気まずくなっちゃって。

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聚楽亭の入り口には星君の記事のコピーが!

―あ、やめたわけじゃないのね。どうしてウチの店に持って来ようと思ったの?

なんでだったかな~。10号代まではまだ北海道に住んでる頃で、コピーしてたわけでなくて、オリジナル1冊だけつくってツレとかに見せてたんですよ。それが京都に引っ越してきて最初に「みやび壱番館」*2にはじめて置いてもらって、それから少しずつ。当時は結構エルマガ読んだりしていろんな店をリサーチしてたんですよ。その一環で恵文社にも来たのかな。昔は結構本買ってたんですけどね~。冒険ものが好きで植村直己とか星野道夫とか、ああいうのとか。

―いつも広告欄に「ロックとメシの本がある本屋」って紹介してくれてるよね。メシの本、買いにきてよ。ところで最近面白い定食屋行った?

最近は御薗橋の王将ばっかりですね~。別に普通なんですけど。最近定食屋巡りもやってないですね。ここ(*3)も来たの大分久しぶりですし。そういえば、下鴨の舞川がなくなっちゃったんですよ。この前行ったら30年間ご愛顧ありがとうございましたって。客が隣の音色食堂に流れてましたね。自分の好きな店はなんというか結局きたなくっても落ち着く店なんすよ。この辺のラーメン屋で言うとあのなんかガラス張りの店*4あるじゃないですか、ああいうのはその対極で行けませんね~。向かいの天龍にはよく行くけど。バンドメンバーのキャラが立ったライブやってるラーメン屋*5も最近はあんまりないし。

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―最後に座右の書を教えて下さい。

永沢光雄さんの『風俗の人たち』っすかね~。この人は亡くなってから好きになったんですけど、自分とは違う世界にいる異端の人に対してすごい優しいんですよね。視点が人間臭いというか。実際に風俗に行って取材したりルポ的な文章を書いているんだけど、この人は元々そういうところに好き好んで行くタイプの人じゃないと思うんですよ。酒が好きな所もいいし。

年に何度かは呑みにいったりもする関係ですが、いまだにつかみどころがないというか、何を言っているのかわからないことの多い星くん。継続は力なり、という教訓だけは痛いほど伝わってきます。時に弾き語りで、時に酔った勢いの文章で、四畳半から発信される彼の魂の叫びをぜひぜひみなさんキャッチして下さい。受信方法は偶然のみ。京都の街になるべく出歩くこと。検索しても彼はひっかかりませんよ!

*1 店にも毎月コンスタントに置きにきてくれる女性発行人によるフリーペーパー。ごくプライベートな彼女の日常が手書きで描かれており、スタッフの中にもなにげなく注目している人間あり。
*2 北大路橋側にあったコーヒーも飲める中古レコード屋。惜しくも数年前に閉店しました。
*3 取材場所の聚楽亭。当店から一乗寺駅の方に真っすぐ歩いて1分で右手に。数年前の『エルマガジン』定食特集に掲載された星君手書きの記事が目印!
*4 一乗寺ラーメン街でも1、2の人気を争う「高安」のこと。
*5 星君はラーメン屋や定食屋の店員が声を出しながら働く様子をバンドに例えて「ライブ」とよく言う。

(堀部)