第十回 atelier KUSHGULさん(布作家)

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個性豊かな作家さん、アーティスト、取引先の皆さんと毎日のように関わりながら成り立っている当店。そんな人々を探れば自ずと店の輪郭までもが浮かび上がるのではないかということで、スタートしました連載「いちじょうじ 人間山脈」。

第十回目は、生活館ミニギャラリー内にて展覧会を開催中の「atelier KUSHGUL」のお二人。主に機を織る寺田靖子さん、パターンと縫製をする長友宏江さんから成るユニットです。機織り機で少しづつ手織りするオリジナルテキスタイルとデザインにこだわりながら、布ものを制作しています。以前はそれぞれが仕事を別に持ちながらの活動でしたが、今年からは機織り機を2台に増やし、アトリエを構えて本格的に動き出す予定。

―主に布を織るのが寺田さん、パターンおこしから縫製までを長友さんが担当されていますが、今年からお二人とも機織りをされていますね。ある程度の縫製は寺田さんも出来るということですが、一人ではなくあえて二人で活動するようになったきっかけを教えて下さい。

長友)出会いはもう10年ぐらい前です。大学を卒業した後に川島テキスタイルスクール*1で一緒に勉強していた仲間で、そこを卒業してからは私も寺田も仕事をしながら制作を続けていたんです。「布からデザインして服を作りたい」という思いはずっとあったので、大阪で生地から企画して洋服を作ることが出来るジャージーメーカーを見つけて、そこに就職が決まりました。とりあえずは昔の縁で寺田の家に転がり込んだんですよ。再会して、やりたい事が同じだったので2人でやっていこうと。

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―お二人ともがっつり働きながら、帰ってまた制作ですよね。かなりハードだったんじゃないですか?

寺田)そうですね。私はタイ料理屋で社員として働いてたんですが、閉店したのをきっかけにアルバイトにしました。制作ができるように早朝から夕方までパン屋で働いて、夜は制作していました。

―しかも、寺田さんはお聞きするところによるとアルバイトでも社員並みに意欲的に働いてましたよね。

寺田)胸にアツイものを持っているので。
長友)社員になったほうがいいよって何度も薦めました。

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―何にでも頑張ってしまうんでしょうね。でもついにお二人とも事を辞めて、本格的にアトリエを構えて、制作一本になりましたね。

長友)楽しいです。会社に入るとどうしても規制がありますが、今は自由ですから。不安は沢山あるんですが、何でも出来そうな気持ちです。スムーズにコトが進んでいきますから。
寺田)不安さえ無ければですけどね・・。

―そうでしょうね。でも今年で3度目の展覧会になりますが、毎回とても好評をいただいていますよね。今回のチェック地もシンプルなだけではなく不規則なチェックやさし色が大胆で、手織りならではの醍醐味だなと思います。

長友)ありがとうございます。クシュグルをする前にも、他の作家さんと10年ぐらい前から服を作って売ってたんですよ。デパートで展示販売したり。だから結構下積みは長いんです。今年は体制を整えて、ますます頑張りたいと思います。
寺田)私はずっと恵文社さんに見てもらいたいと思っていたのですが、数年は思うようにいかなくて、なかなか持っていけなかったんですよ。やっと思うような布が織れるようになって、見ていただいたんです。

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―では最後に、お二人にとっての座右の書を一冊ご紹介おねがいします。

寺田)『Henri Cartier-Bresson』(1997年/京都現代美術館)私は本とか読まないんで、写真集なんですが。大学時代に購入したもので、感覚とか心のバランスとかが物凄く気持ち良くなるんです。毎回ドキドキしてます。
長友)『デザインの輪郭』(2005年/深澤直人/TOTO出版)分かりやすい言葉で、詩みたいにぽんぽんって心に入ってくる。ものを作る時にフト手を止めて開いてみても、「あっ、そうだな」と思えるような文を見つけます。色んな意味に取れるから、自分に繋げて考えるのかもしれません。

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*1 京都市左京区にあるテキスタイルの専門学校。1973年開校。

(椹木)